Electa Amator Ⅲ

エレクタ・アマトール3

銘機”エレクタ・アマトール”の理想を受け継ぎ、研鑽の粋を注ぎ込んだ、
新たな世代

“Electa Amator”

1987年、北イタリアの小さなスピーカー工房から送り出された “Electa Amator” は、瞬く間に世界のオーディオファイルを魅了し、稀代の名品として、ソナス・ファベールの名を一躍高からしめました。ウォルナット材を、さながら工芸品の如く寄せ木構造として精緻に組み上げ、かつフロント/リアバッフルをブラックレザーで包み込むという、他に類を見ない格調高いスピーカーデザインは、それ以降、世界に数多くのフォロワーも生み出し、ブックシェルフ型のまったく新しい地平を切り開きました。
しかも、その優雅なデザインが単なる意匠を超えて、確かな音響学的知見をふまえた必然の帰結であることが知られるに及んで、ソナス・ファベールのスピーカー哲学には、さらに多くのオーディオファイルから、熱い視線が送られるようになりました。

ブックシェルフ型スピーカーの歴史に革新をもたらした、この“Electa Amator”の登場から30余年、ソナス・ファベールは、この間に重ねてきた技術的研鑽を惜しみなく適用して、この名品の新たな世代、“Electa Amator III”を生み出しました。

コンセプト

初代同様、ウォルナット無垢材をもとに曲面を多用したそのエンクロージャー設計には、堂々たる風格と、木材やレザーという異種素材それぞれの特性を活かす卓越のクラフトマンシップが美しく調和しています。異種素材を大胆に組み合わせてエンクロージャーの剛性を総合的に高める伝統の手法は、近年のソナス・ファベールのスピーカーにおいてさらなる進化を続けていますが、“Electa Amator III”では、底部に大理石を組み込む、さらに新たなコンセプトを導入しました。

使用しているのは、古代ローマの昔から、大理石の産地として名高い北イタリア カッラーラ産の白大理石。ミケランジェロのダビデ像やギリシャのパルテノン神殿にも使われたこの美しく貴重な素材が、ソナス・ファベール工房での成型と入念な研磨を経て、スピーカーの新たな名品における不要振動の吸収・分散という重要な役割を担っています。
さらに、“Electa Amator III”では、木材と大理石の間に真鍮製プレートを挟み込んで振動要素の分散を図ることで、金属素材をも調和的に融合。まさに、今日のソナス・ファベールの設計理念を体現しています。

ユニット

28mm口径ソフトドームツイーターは、今日のソナス・ファベールのスピーカーシステムのスタンダードとなっているアローポイント“D.A.D”(ダンプト・エイペックス・ドーム)ですが、ダンパーには初代で鮮烈な印象を与えた3本脚タイプを採用しています。
ソフトドームの頂点をわずかにダンピングすることで位相特性を最適に制御する先進の仕様と、スピーカー史に燦然と輝くモデルのたたずまいが、ここではみごとな融合を見せています。また、ツイーター背面には、内部で複雑な音響迷路を形成する専用の木製チェンバーを設け、透明でありながら力感のある、高純度な高域再生に寄与しています。

“Electa Amator III” では、初代 “ElectaAmator”の香り高く艶やかな中・低域の再現性をより今日的に受け継ぐ一方、口径を180mmとして、パワフルでタイトな、濁りのないパフォーマンスと、広帯域にわたる高い分解能を発揮します。そのダイアフラムには、自然乾燥させたセルロース・パルプを使用。いっさいのカラレーションと無縁の、あくまでナチュラルなその再現は、まさに自然素材ならではです。

ツィーターには専用の木製チャンバーを搭載。
ミッドウーファーのダイアフラムには自然素材を配合。

ネットワーク

2ウェイ構成ならではのシームレスな音のつながりとエネルギーバランスを担うクロスオーバー・ネットワークは、“Aida II”や“HomageTradition”などに採用された“パラクロス・トポロジー”に基づき、振幅・位相特性を最適化しています。
もちろん、専用パーツを厳選の上、試聴を繰り返してしてマウントされており、振動要因による音楽信号への影響を最小化するために最適化された設計になっています。

デザイン

“Heritage”コレクションでは、製品の開発から設計、石材の加工、木材の乾燥、エンクロージャーの組み上げ、ドライバーユニットやクロスオーバー回路の取り付けに至る、すべての工程が、イタリア北部ヴィチェンツァのソナス・ファベール工房にて行われています。
スピーカーのマニュファクチャリングを知り尽くしたクラフトマンによる細心の作業、ていねいなものづくりが、世界に誇る音のクオリティーを支えています。

キャビネットの乾燥、塗装も全て自社の工場内にて行っています。
削り出しの大理石から成型する、まさしく卓越した職人技。

仕上げ

2つの仕上げをラインナップ。

・Walnut仕上げ:ウォルナットの無垢材を使用しながら、ラッカー塗装を施しています。スピーカー本体部底面と専用スタンドのベース部には白大理石を採用。
・Graphite仕上げ:ウォルナットの無垢材を使用しながら、ダークグレーの塗料を塗布した上でラッカー塗装を施しています。スピーカー本体部底面と専用スタンドのベース部には黒大理石を採用。

Graphite仕上げ
本体部底面には黒大理石を採用。

スペック

・形式
 2ウェイ 2スピーカー バスレフ方式 ブックシェルフ型
・使用ドライバーユニット
 高域:28mm口径 アローポイントDAD シルク・ソフトドーム型
 中低域:180mmコーン型
・クロスオーバー周波数
 2.5kHz
・周波数特性
 40Hz ~ 35,000Hz
・出力音圧レベル
 88dB/W/m
・公称インピーダンス
 4Ω
・スピーカー端子
 バイワイヤリング対応(HIGH / LOW)
・寸法(突起部含む)
 幅233×高さ373×奥行348mm(本体)
 幅302×高さ1,089×奥行380mm(Carrara Stand装着時)
・重量(1本)
 14.8kg(本体)
 26kg(Carrara Stand装着時)
・仕上げ
 Walnut、Graphite
・スタンド
 Carrara Stand付属

左:Graphite仕上げ
右:Walnut仕上げ

カタログ